島根県大田市の温泉津温泉にある「寛ぎの宿 輝雲荘」に、冬の松葉ガニを楽しむプランで宿泊してきました。世界遺産の温泉街で、1300年の歴史を持つ名湯と旬のカニ料理を堪能できるこの宿は、シニア層やご家族での旅行に特におすすめです。
この記事では、実際に泊まって感じた魅力を、温泉、料理、客室、サービスの各視点から詳しくレポートします。
寛ぎの宿 輝雲荘に宿泊した理由と第一印象
今回、寛ぎの宿 輝雲荘を選んだ最大の理由は、冬の山陰旅行で本場の松葉ガニを味わいたいという思いからでした。石見銀山や出雲大社を巡る3泊4日の旅の最終日、温泉津温泉という世界遺産の温泉街で、地元の海の幸を堪能できる宿を探していたところ、口コミ評価の高い輝雲荘に出会いました。
JR温泉津駅に到着すると、事前にお電話をいただいていた通り、宿からお迎えの連絡をいただきました。今回は温泉街の風情を楽しみたかったので徒歩で向かいましたが、駅から約17分の道のりは赤い石州瓦が連なる昔ながらの町並みが続き、まるで江戸時代にタイムスリップしたような雰囲気でした。
宿の玄関に着くと、温泉津焼のかわいらしい動物たちが出迎えてくれます。玄関を上がった瞬間に驚いたのが、ホールも廊下もすべて畳敷きになっていること。素足で歩く畳の感触が心地よく、旅の疲れが一気にほぐれていくのを感じました。スタッフの方々の笑顔と丁寧な言葉遣いに、到着早々「ここに泊まって良かった」と確信しました。
寛ぎの宿 輝雲荘の客室レビュー|部屋の広さ・眺望・アメニティ
部屋に入った瞬間の感動ポイント
今回予約したのは6畳の和室でしたが、実際にはより広いお部屋にグレードアップしていただけました。布団を敷くスタイルの和室ですが、部屋の照明はリモコンで操作でき、スマホの充電用に延長コードが用意されているなど、細かな配慮が随所に見られます。
特に印象的だったのが、洗面台とトイレのリノベーションの美しさです。古い建物の趣を残しながらも水回りは最新で清潔感があり、6畳という広さも二人で過ごすには十分でした。部屋全体が清掃の行き届いた空間で、わずかに塗料の香りが残っていましたが、それほど気になるレベルではありませんでした。
窓からの景色と客室の設備
窓から見える温泉津の町並みは、赤い瓦屋根と白壁のコントラストが美しく、世界遺産の重要伝統的建造物群保存地区ならではの景観を楽しめます。部屋には冬に嬉しいこたつが設置されており、のんびりと寛ぐのに最適な空間でした。
アメニティの充実度とこだわり
基本的な浴衣やタオル類はもちろん、お茶セットも充実していました。何より嬉しかったのは、大浴場にフェイスタオルが備え付けてあること。何度も温泉に入る際、濡れたタオルを部屋から持って行かなくてよいというのは、想像以上に快適でした。
寛ぎの宿 輝雲荘の温泉・大浴場を徹底レポート
泉質と温泉の効能
温泉津温泉は1300年の歴史を持ち、日本温泉協会の審査で最高評価を受けた「薬師湯」の源泉を引いています RAQMO-LP。輝雲荘の大浴場では、この効能豊かな温泉を楽しむことができます。
泉質は弱食塩泉で、湯上りは肌がしっとりと柔らかくなり、体の芯から温まります。泉質の良さは宿泊前から期待していましたが、実際に入ってみると想像以上の心地よさでした。薬師湯ほどの熱さではなく、ゆったりと長時間浸かれる温度設定になっているのも魅力です。
大浴場の雰囲気と混雑状況
輝雲荘には「甍(いらか)の湯」と「森の湯」という2つの大浴場があり、夜11時に男女が入れ替わります。両方の温泉を楽しめるのは嬉しいポイントです。
甍の湯は地元特産の福光石を敷き詰めた浴室で、温泉津温泉で唯一の露天風呂 Yunotsu-meguriを備えています。内湯は源泉かけ流しの天然温泉で温度調節のため加温加水がありますが、露天風呂はセラミック泉の循環ろ過となっています。森の湯は御影石を敷き詰めた浴室に檜の露天風呂があり、それぞれ異なる雰囲気を楽しめました。
宿泊客が多すぎないこぢんまりとした宿なので、大浴場が混雑することはほとんどありません。私たちは4回も入浴してしまいましたが、毎回ゆったりと温泉を独占できました。
貸切風呂・露天風呂の魅力
無料で利用できる貸切風呂「和みの湯」もあります。夜11時まではフロントで鍵を受け取り、11時以降は鍵が解放されているので、内側から施錠して利用します。家族やカップルで気兼ねなく温泉を楽しみたい方には最適です。
宿の温泉だけでなく、徒歩数十メートルの距離に名湯「薬師湯」と「元湯」があるのも輝雲荘の大きな魅力です。両方の外湯を訪れましたが、風情ある建物と熱めの湯が印象的で、温泉街全体を楽しめる立地は素晴らしいと感じました。
寛ぎの宿 輝雲荘の食事|夕食・朝食のクオリティ
夕食のハイライトと味の感想
今回のお目当ては「松葉ガニ一杯付き会席プラン」です。お部屋食でゆっくりといただける点も、この宿を選んだ理由の一つでした。
お品書きは、先付、お造り(カニ刺し付)、茶碗蒸し、一品料理、焼物、蓋物、カニ鍋、食事、吸物、デザートという豪華な内容。松葉ガニは一杯400gを使用しており、カニ刺しの甘みとプリプリの食感、カニ鍋の濃厚な旨味に、冬の山陰に来た醍醐味を感じました。
特に印象的だったのが、鯛の塩焼きです。身がふっくらとして美味しいのはもちろん、皮がパリパリで、骨と頭以外は全部食べてしまったほど。地元で水揚げされた日本海の海の幸を中心とした会席料理は、どの品も丁寧に作られており、量も二人で完食するのがやっとなほど充実していました。
温かい料理はアツアツのまま、ちょうど良いタイミングで運ばれてくるのも嬉しい心遣いです。残すのが惜しいほど美味しく、食べきれないかもと思いながらも、結局全て完食してしまいました。
朝食の内容とおすすめポイント
朝食も部屋食でいただけます。人の目を気にしてバタバタと身支度をする必要がなく、自分たちのペースでゆっくりと朝の時間を過ごせるのは、旅館ならではの贅沢です。
出来立てのあたたかな和食が並び、地元の食材を活かした優しい味付けが朝の体に染み渡ります。ご飯とお味噌汁、焼き魚、だし巻き卵、煮物など、丁寧に作られた朝食は、旅の思い出をより豊かにしてくれました。
食事会場の雰囲気とサービス
部屋食なので食事会場というものはありませんが、スタッフの方が料理を運んでくださる際の対応が素晴らしく、温かみのある接客に心が和みました。食事のペースに合わせて次の料理を持ってきてくださるタイミングも絶妙で、プロフェッショナルなサービスを感じました。
寛ぎの宿 輝雲荘のその他施設・サービス
館内には通りに面したガラス張りの休憩スペースがあり、温泉津のノスタルジックな町並みを眺めながらくつろげます。宿泊だけでなく、休憩や喫茶、ランチの利用もできるそうなので、日帰りで訪れる方にもおすすめです。
特別に印象に残ったサービスは、やはり駅までの送迎です。チェックイン前に電話で確認してくださり、チェックアウト後も駅までお送りいただけます。公共交通機関でアクセスする方には、とてもありがたいサービスです。
また、館内の廊下が全て畳敷きになっているというのは、他の旅館ではなかなか見られない特徴です。スリッパを使用せず素足で歩くことで、転倒防止にもなり、ご年配の方やお子様連れにも安心です。
寛ぎの宿 輝雲荘の宿泊レビュー総評|こんな人におすすめ
寛ぎの宿 輝雲荘での宿泊は、立地、おもてなし、お料理、お風呂、お部屋、どれをとっても素晴らしく、大満足の体験でした。総合的な満足度は5点満点中4.5点。コストパフォーマンスも優れており、リーズナブルな料金設定ながら、質の高いサービスと料理を楽しめます。
特におすすめしたいのは、以下のような方々です。
シニア層のご夫婦は全館畳敷きでバリアフリー、部屋食でゆっくり過ごせる環境が整っています。温泉の泉質も良く、体に優しい滞在ができます。
家族旅行では子連れでも安心して過ごせる雰囲気と設備、そして量も質も満足できる食事が魅力です。世界遺産の温泉街散策も家族で楽しめます。
温泉好きの方には源泉かけ流しの大浴場、無料の貸切風呂、そして徒歩圏内に名湯の外湯がある立地が最適です。
カニ料理を味わいたい方は冬季限定の松葉ガニプランで、本場の味を部屋でゆっくり堪能できる贅沢な体験ができます。
再訪したいかと聞かれれば、答えは間違いなく「はい」です。次回は違う季節に訪れて、また別の会席料理や温泉街の表情を楽しみたいと思います。世界遺産の中にある温泉という希少な立地、心のこもったおもてなし、そして美味しい料理。輝雲荘は、日常を忘れてゆっくりと寛ぎたい方に自信を持っておすすめできる宿です。
まとめ
寛ぎの宿 輝雲荘は、1300年の歴史を持つ温泉津温泉の中心に位置し、世界遺産の温泉街という特別な環境で上質な時間を過ごせる旅館です。
全館畳敷きの館内、源泉かけ流しの温泉、そして地元の海の幸を中心とした会席料理と、どれをとっても満足度の高い体験ができました。特に冬の松葉ガニプランは、旬の味覚を部屋食でゆっくり味わえる贅沢なひとときです。
シニア層やご家族での旅行に特におすすめの宿で、石見銀山観光と合わせて訪れれば、より充実した山陰旅行になるでしょう。次回の温泉旅行の候補に、ぜひ輝雲荘を検討してみてください。

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