【萩の宿 常茂恵】宿泊記|高齢の両親と泊まって感動したおもてなし

ー山口県
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「久しぶりの家族旅行、足腰の弱い両親を連れて行っても大丈夫だろうか」。そんな不安を抱えながら、明治維新の地・萩への親孝行旅を計画しました。選んだのは、創業100年近い歴史を持つ老舗**「萩の宿 常茂恵(ともえ)」**。今回は、海外在住の私が一時帰国中に両親と宿泊した体験をもとに、美しい日本庭園や絶品の部屋食、そして心温まるサービスについて本音でレビューします。公式サイトだけでは分からない、リアルな滞在記をお届けします。

「萩の宿 常茂恵」に宿泊した理由と第一印象

海外在住の私にとって、今回の一時帰国は特別なものでした。高齢になった両親とゆっくり過ごすため、行き先に選んだのは山口県の萩。「明治維新の地で歴史を感じたい」という家族の希望と、何より**「静かで落ち着ける場所」**であることを最優先に宿を探しました。

数ある旅館の中から「萩の宿 常茂恵」を選んだ決め手は、全室から日本庭園が望めるという贅沢な造りと、予約サイトでの口コミ評価の高さです。価格も高級旅館としては比較的手が届きやすく、「ここなら間違いない」と直感しました。

静寂と品格に包まれたロビー

梅雨の時期で雨を覚悟していましたが、到着時は幸運にも晴天に恵まれました。一歩玄関を入ると、そこは外の喧騒とは無縁の別世界。静まり返った館内には凛とした空気が漂い、ジョージ・ナカシマの家具が配されたロビーは美術館のような気品があります。

チェックインの際、スタッフの方が高齢の両親を気遣い、丁寧かつスムーズに案内してくれたのが印象的でした。「お帰りなさい」と迎え入れられるような温かさに、旅の疲れがふっと軽くなるのを感じました。

萩の宿 常茂恵の客室レビュー|部屋の広さ・眺望・アメニティ

今回案内していただいたのは、手入れされた日本庭園に面した純和風の客室です。足の悪い母のために、フロントや大浴場から一番近い1階のお部屋を用意してくださるという配慮があり、その心遣いに到着早々胸が熱くなりました。

歴史を感じる「犬養毅の書」と庭園美

お部屋は広々としており、掃除が隅々まで行き届いていて清潔感は完璧です。床の間には「犬養毅」の書が飾られており、この宿が刻んできた長い歴史と格式を肌で感じることができました。

広縁の大きな窓からは、緑あふれる庭園が一望できます。手入れされた松や苔が陽の光を受けて輝く様は、ただ眺めているだけで心が洗われるよう。静かな部屋で庭を眺めながら、両親と昔話を語り合う時間は、何ものにも代えがたい贅沢なひとときでした。

気になった点:コンセントと浴衣

あえて気になった点を挙げるとすれば、スマホ充電用のコンセントが少なかったことです。枕元で夫婦それぞれのスマホを充電するには数が足りず、少し工夫が必要でした。気になる方は延長コードを持参すると良いかもしれません。

また、浴衣が1人1枚用意されていたのですが、寝汗をかいた時のためにもう1枚予備があるとさらに嬉しかったです。とはいえ、アメニティは可愛らしい小袋に入っており、細部までおもてなしの心を感じました。寝具は厚めの敷布団に軽い羽毛布団で、腰への負担もなく朝まで熟睡できました。

萩の宿 常茂恵の温泉・大浴場を徹底レポート

旅の楽しみといえば温泉です。「常茂恵」のお湯は、2004年に開湯した「はぎ温泉」。さらりとした優しい湯触りが特徴です。

露天風呂はないけれど…意外な開放感

正直にお伝えすると、こちらの宿には露天風呂がありません。予約時は「露天がないのは少し物足りないかな?」と心配していたのですが、実際に入ってみるとその不満は解消されました。

内湯の天井が非常に高く設計されているため、湯気がこもるような息苦しさが全くないのです。大きな窓からは庭の緑が見え、まるで半露天のような開放感がありました。浴槽は黒御影石を使った落ち着いた造りで、混雑することもなく、ゆったりと手足を伸ばして入浴できました。泉質も良く、湯上がりは肌がしっとりとし、体の芯から温まりました。

萩の宿 常茂恵の食事|夕食・朝食のクオリティ

今回の滞在で最も感動したのは、間違いなくお料理です。家族水入らずで楽しめる**「部屋食」**でいただきました。

素材の良さを引き出す絶品の夕食

「高級食材をただ並べるだけ」の料理とは一線を画す、料理長の繊細なセンスが光る会席料理でした。

特筆すべきは、桜鯛と平政(ヒラマサ)のお造り。鮮度が抜群で、口に入れた瞬間の舌触りと濃厚な旨みは絶品でした。また、鰆(サワラ)の焼き物は火入れ加減が絶妙。ふっくらとした身の食感に、「焼き魚がこんなに美味しいなんて」と父も母も箸が止まりません。

コースの最後に出てきたデザートの**「杏仁豆腐」**も、創作性が高く、和食の締めくくりにふさわしい上品な甘さでした。温かいものは温かく、冷たいものは冷たく、一品一品丁寧に運ばれてくる料理に、料理人の情熱を感じました。

体に染み渡る優しい朝食

翌朝の朝食も、体に優しいメニューが並びました。特に印象的だったのは、餡のかかった手作り豆腐。温かく滑らかな口当たりで、朝の胃袋を優しく満たしてくれます。

少し気になったのは、付け合わせの「かぼちゃのオーブン焼き」がかなり大きかったこと。味は美味しいのですが、少食な母には少し量が多かったようです。もう少し小ぶりだと完食しやすかったかもしれません。それでも全体を通して、大満足の内容でした。

萩の宿 常茂恵のサービスと「萩」を知る体験

ハード面の素晴らしさもさることながら、「常茂恵」の真髄はやはり**「人」**にあります。

スタッフの提案で深まった旅の思い出

滞在中、担当の中居さんから「お天気も良いですし、遊覧船に乗ってみてはいかがですか?」と提案をいただきました。予定には入れていなかったのですが、その勧めに従って乗船してみることに。

これが大正解でした。穏やかな水の上から眺める萩の街並みや、船頭さんが語る歴史の話はとても興味深く、観光地としての表面的な萩ではなく、人々の生活が息づく「本当の萩」に触れた気がしました。マニュアル通りではない、心のある接客のおかげで、土地への理解がぐっと深まりました。

萩の宿 常茂恵の宿泊レビュー総評|こんな人におすすめ

今回の滞在を振り返ると、「萩の宿 常茂恵」は単なる宿泊施設ではなく、**「日本の美と心を取り戻す場所」**だったと感じます。

総合満足度とおすすめしたい人

決して安くはない価格帯ですが、料理の質、館内の維持管理、そしてスタッフの方々の品格ある対応を考えれば、コストパフォーマンスは非常に高いと言えます。翌日、私たちは県内の別の高級旅館にも宿泊したのですが、両親は「常茂恵さんの方が印象に残ったね」と口を揃えていました。

特にこんな方におすすめです:

  • 親孝行旅行やシニア夫婦: バリアフリーへの配慮や静かな環境が整っています。

  • 美食家の方: 地元の旬を丁寧に仕上げた会席料理は必食です。

  • 歴史と静寂を好む方: 館内の書画や庭園、萩の歴史を肌で感じられます。

「また別の季節に訪れて、あのお料理を味わいたい」。心からそう思える、私の人生の中でも指折りの名宿となりました。萩への旅行を検討されている方は、ぜひこの「常茂恵」で特別な時間を過ごしてみてください。

 

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